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地面師ってなんだ?

地面師とはなんだ

 「地面師」(じめんし)とは、土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金をだまし取る不動産をめぐる詐欺の手口の一つ、またはそうした手口の詐欺師のことです。抵当にいれて、お金をだまし取ることもあります。かつては、開業まもない司法書士が、仕事が少ないので狙われたこともありました。突然事務所に来て、すぐに登記してほしい・・と来たようです。

地面師のやり方

地面師は他人の土地を、真の所有者になりすまして、または、自分または自分の関係者の名義に変えて、それを知らない第三者に売却するなどしてお金を手に入れます。完全なる売却だけではなく、手付金詐欺だけの時もあります。

 【所有権移転登記】

真の所有者名義から地面師の名義に変えたり、第三者の名義にするには、下記の書類等が必要です。

  1.  権利証もしくは登記識別情報
  2.  現所有者の実印及び印鑑証明書
  3. 現所有者の身分証明書
  4. 買主の住民票と認印
  5. 評価証明書

 <権利証>

権利証については、①盗む②偽造する が考えられます。

①盗む     に関しては、本物の権利証ですから、認めざるを得ません。コピーは認められないので、コピーは見ればわかるでしょう。

偽造については、当時の権利証を復元?し、法務局の登記済みの印鑑も模造し作成されました。一般的に法務局の職員は、きれいに印鑑を押す習慣がないので、キレイな登記済みの印鑑だと、なんか変だと気づくでしょう。かつて、その筋の悪人が、「覚えたてのワープロ」で一生懸命偽造したところ、その権利証の時代には、ワープロがなく、和文タイプまたは手書きの時代だったので、すぐにバレタという笑い話があります。

権利証ではなく最近の登記識別情報だった場合はどうでしょう。登記識別情報通知の中には12桁の英数字のパスワードが収納されているのですが、これはコピーでもかまわないので、盗品かどうかわかりにくいです。もちろん法務局発行の本物の用紙であれば偽造は不可能でしょうし、パスワードが違えば登記は不可能です。

権利証や登記識別情報が、紛失等により無かった場合はどうでしょう。ない場合の方法としては

(あ)司法書士の作る本人確認情報をつける

(い)公証役場の公証人が作る本人確認情報をつける

(う)法務局の事前通知制度を利用する

(あ)の場合は、所有権移転登記を担当する司法書士が、印鑑証明書ならびに免許証・パスポート・写真入りのマイナンバーカード等で本人を確認し、確認した書類を作成し添付します。免許証・パスポート・写真入りのマイナンバーカードが精巧な偽造だったりすると、司法書士も判りません。

(い)の場合は、公証役場で公証人が本人を確認し、確認書類を作りますが、これも印鑑証明書ならびに免許証・パスポート・写真入りのマイナンバーカードが精巧な偽造だったら、見抜けないかもしれません。

(う)の場合は、権利証なしでとりあえず登記を申請し、法務局が所有者あてに本人限定郵便を送付し、受け取った本人が、法務局からの確認書類に実印を押印し法務局に持参もしくは返送するシステムです。かつての『保証書制度』と少し似ています。郵便屋さんが本人宅に届けようとすると、本人になりすました地面師が、玄関で受け取って逃げるということがありました。

本人限定郵便は、普通の書留とはちがいます。まず⑴郵便局から通知書がきます⑵郵便物を郵便局に取りに行きます。その際、免許証・パスポート・写真入りのマイナンバーカードが必要です。これも精巧な偽造だったら判りません。

 <実印及び印鑑証明書>

通常、実印は本人が持っています。印鑑証明書は交付カードがなければ申請できません。

     偽造の免許証等を使って、市役所・区役所に、印鑑の再登録と印鑑カードの再発行を依頼してしまう方法。

     印鑑証明書そのものを精巧に偽造する方法

が考えられます。

 どうしたら地面師から自分の不動産を守れるのでしょうか 

昔は、権利証・実印・印鑑証明書の3点をセットで盗まれたり置き忘れたりすると危険でした。麻雀の席で負けた男が相手に「持ってけ~」と権利証を投げつける場面を見たことがありますが、権利証だけではだめ。ちゃんと3点セットで、司法書士の面前で委任状に署名押印してもらわないと名義は変えられません(笑)。現在は、司法書士は、免許証等で本人確認をするので、通常は事故はないと思っています。ですから、売買の際に、忙しいからと言って、決済の当日に取引の現場に出席をしないようなことは、安易になさらないでください。どうしても当日に出席できない場合には、事前に面談をして、必要な書類への署名・押印、ならびに本人確認をさせていただきます。あなたのためですから。

登記名義人ではない者が、他人の権利証や登記識別情報を用いて不正な登記を行うことは、一般的には容易なことではなく、仮に、登記名義人でない者が他人になりすまして不正な登記をしたとしても、その登記は無効であり、その行為は犯罪となります。 

でも、紛失して心配な場合は、『不正登記防止申出』の制度があります。

不正登記防止申出の制度は、不正な登記がされる差し迫った危険がある場合に、申出から3か月以内に不正な登記がされることを防止するための制度であり、権利の移動を禁止する趣旨の制度ではありません。紛失した権利証を不正な登記(犯罪)に利用される差し迫った危険があるというような、具体的な不安がある場合には、3か月ごとに不正登記防止申出の手続をすることになります。なお、不正登記防止申出の手続は、申出人本人の出頭を原則としていますが、本人が登記所に出頭できない止むを得ない事情があると認められる場合には、委任による代理人が登記所に出頭してすることもできますので、申出先の登記所に御相談ください。

この申出を行うことにより、もし何らかの登記申請がされた場合には申請を受けた法務局から「こういう登記申請が提出されましたが大丈夫ですか?」という連絡がくることになっておりますので、法務局に申し出ることで不正な登記を防止することができます。この申出には有効期限が3か月しかありません。3か月過ぎたら、必要であれば、また申し出を行います。 

紛失や盗難にあったのが登記識別情報通知書の場合は、登記識別情報の失効手続きもあります。

登記識別情報を紛失し、これが誰かに盗み見られた可能性がある場合などには、登記名義人又はその相続人その他の一般承継人の申出により、登記識別情報を失効させる制度が設けられています。これによって登記識別情報は無効になりますが、再発行はされないので、売却もとくは担保設定登記の際には。本人確認情報等の利用になります。

積水ハウスが約55億円の被害に遭った東京都内の土地取引をめぐる地面師事件で、警視庁捜査2課は平成30年11月5日、偽造有印私文書行使と電磁的公正証書原本不実記録の疑いで、地面師グループの男女8人を再逮捕した、とのニュース(30.11.5産経新聞)

捜査関係者によると、8人は、積水ハウスとの東京都品川区西五反田の旅館跡地売買をめぐり、平成29年4月24日、所有者の名義を変更するため、法務局に偽造した委任状などを提出し、虚偽の仮登記を申請した疑いが持たれているという。

積水ハウスは仮登記申請とともに売買契約を締結。仮登記申請は法務局も気が付かず受理されて登記完了した。29年6月の本登記申請で、地面師グループ側が提出した委任状が偽造だったことが発覚して、登記申請は却下されたと思われる。

お役立ち情報のまとめ

いかがでしょうか。こちらのページでは、下記の内容をご紹介しました。

  • 地面師について

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